Japan Folk

六文銭/小室等

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JAPAN FOLK
六文銭/小室等
メッセージ性のある
フォークの成果
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及川幸平、四角佳子、こむろゆいは六文銭'09を結成し、ライブ活動を精力的に行います。フォーク界の長老小室等。2011年に音楽活動50周年を迎えましたが、彼の音楽スタイルは一貫して変わりません。それはメッセージ性のあるフォーク・ミュージックです。1970年代初期に反戦・自由を標榜し、関西を中心に一世風靡したメッセージフォークの事ではありません。彼はその当時から別役実、大岡信、谷川俊太郎、白石ありす等の劇作家や詩人とコラボレートした作品を発表しています。

特に谷川とは1976年に「いま生きているということ」を発表し、その不変で美しいメッセージは今も輝きを放っています。そもそも米国のフォークを日本に紹介したのは小室です。キングストントリオやPPMに感銘を受け、1960年代初期から音楽活動を開始します。その後モダンフォークの教則本を発売し、その普及に努めていましたが、独自の音楽を模索し始めました。その頃から始めた現代詩とのコラボは米国のフォークを換骨奪胎し、メッセージを持った日本語の音楽へ変換する試みです。それが彼の音楽の原点でしょう。

1968年、そういった彼の作品を表現するために結成されたグループが六文銭です。PPMフォロワーズを母体に結成された六文銭は幾度かのメンバーチェンジを繰り返し、1971年に上条恒彦と組んだ「出発の歌」が第二回世界歌謡祭でグランプリを取ります。曲は大ヒットとなり翌年に小室等、及川恒平、原茂、橋本良一、四角佳子のメンバーで、アルバム「キングサーモンのいる島」をリリースしますが、その直後解散します。

短期間でありましたが、六文銭の残した功績は、及川恒平という希代な作詞家を生み出したことでもあります。六文銭の唯一残したオリジナルアルバム「キングサーモンの島」は全曲及川恒平の作詞です。小室は彼に絶大な信頼を寄せ、このアルバムを製作したに違いありません。というのは、小室が関わったアルバムで全曲同じ作詞者は、詩人を除くと及川しかいません。実際彼が作った詞は40年以上経っても古びていません。

小室は1979年シングル「寒い冬」をリリースした際、TVに出演しヨネヤマママコとパフォーマンスを行います。その時の彼女の言葉が忘れられません。「今は意味の無い歌が多い。彼の歌には意味がある」。


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六文銭
「キングサーモンのいる島」
ベルウッド
1972年
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作詞を全て及川恒平が手掛け六文銭のベストメンバーで制作されたファーストアルバム。彼らの才能が開花した日本語フォークの金字塔的作品。ファンタジーな(1)(8)(10)、アイロニカルな(4)(6)など及川の詞は変幻自在です。特に(5)のスリーフィンガーピッキングが紡ぎ出す夏の情景描写は今も瑞水しさにあふれています。かしぶち哲郎、柳田ヒロ、武川雅寛等が参加。かしぶちのメロディアスで非凡なドラムが特に印象に残ります。

1. キングサーモンのいる島
2. 私の家
3. ホワンポウエルの街
4. 小さな動物園
5. 夏・二人で
6. おもちゃの汽車
7. 春は日傘の
8. サーカス・ゲーム
9. 流星花火
10. インドの街を象にのって


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六文銭
「六文銭メモリアル」
ベルウッド
1972年
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このCDはどの曲を聴いても時代性を感じさせません。年月によって左右されない歌を作ろうとしたいたことの現れです。これは1972年7月新宿厚生年金でのライブ及びスタジオ録音を収録した実質的なラストアルバムです。別役実、高橋照幸、流山児祥等、彼らの作品も収録し彼らの幅広い音楽性と文学性が堪能できます。彼らのルーツであるPPM、メラニー等のカバーも収録。若き日の加納典明が撮った有終の美を感じるインナー・フォトも美しいです。

ディスク:1
1. 思い出してはいけない
2. 夢のまた夢
3. 追放の歌
4. それから
5. ネコの歌
6. 私はスパイ
7. へのへのもへじの赤ちゃん
8. 海賊の歌
9. 面影橋から
10. さよならの歌
11. 雨が空から降れば
12. ひとりぼっちのお祭り

ディスク:2
1. 長い歌
2. In My Life
3. お陽様はどちらからのぼるのですか
4. リンゴの木
5. 今日はいい天気だな
6. まわる
7. 街と飛行船
8. こわれました
9. ロック天国
10. 無題
11. この大空に捨ててしまおう
12. 傷ついた小鳥


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