<ローズウッド材について>
□ マメ科
□ 気乾比重 : 0.75~0.82
□ 産地 : 東南アジア、インド南部
基本的には「イースト・インディアン・ローズウッド(East Indian Rosewood)」のこと、「パリサンダー(Palisander)」とも呼ばれます。 材色は赤紫褐色~紫色を帯びた暗褐色で縞模様を持ちます。 マホガニーやメイプルと同様にギターのサイド&バック材としてはポピュラーな材料です。又、指板にもよく使われます。名前の通りローズ(ばら)のような甘い香りがします。
比重が割合高いため倍音が出やすく、艶やかで綺麗な高音と力強い中低音が音質の特徴です。ハカランダの入手が困難になった現在、最も優れたなサイド/バック材になっています。深い低音と艶やかな高音が特色です。概ね真っ直ぐで規則的な美しい木目。最近は政府の伐採制限などの影響で高騰し、入手が困難になってきています。
世界の熱帯・亜熱帯に分布しており、木材を産する樹種は20種ほど上げられます。「ローズウッド」という名前の由来ですが、これは生木が薔薇の花のような芳香を放つところから名付けられたと言います。日本にも古くから輸入されており、「紫檀」という名前で呼ばれている三大唐木の一つです。 主に薄い突き板などに加工されて家具などの装飾に使われています。木材業界では紫檀とローズウッドは別のものと捕らえています。紫檀の中でも最高級の「本紫檀」は赤褐色の非常に美しい材で、厳密にはタイ産のものだけ本紫檀と言います。
現在ではローズウッドというと、普通は「インディアンローズウッド」を指しますが、もっと大きい意味でいろいろな種類の物(8科20属)をまとめてローズウッドという場合が多いようです。インディアンローズウッドは、現在でも多くのメーカーが使用しているもので、価格が安く、比較的入手しやすい材です。しかし、ギター業界で最も有名なローズウッドというと、「ブラジリアンローズウッド」(現地名ハカランダ・ジャカランダ)です。
本来ローズウッドというと、このブラジリアンローズウッドを指します。 現在は極々少数のメーカーやカスタムショップに使用されている程度です。最も初期の段階では普通に使用されていたのですが、1960年代半ばにブラジル政府が【絶滅が心配される状況】と判断して輸出を制限してしまいます。
この影響でこの材を使用していた各ギターメーカーは当時入手しやすかったインディアンローズウッドに切り替えたのです。 その後、ブラジリアンローズウッドは、1992年6月に京都で開催されたワシントン条約締結国会議で該当目に指定されたため、原則的に現地外への移動が禁止となりました。しかし、条約前に伐採された物という証明書があれば移動が可能です。
現在多くのメーカーに使用されているインディアンローズウッドも年々数が減少してきており、原産国である各国でも輸出の制限を開始しています。インドネシアでは1978年5月から、インドでも1980年から丸太での輸出を禁止しています。最近ではインディアンローズウッドに代わる材の使用も増えています。
代表的なものでは南米産の「ココボロ」「ホンデュラスローズウッド(ニューハカランダ)」「ボリビアンローズウッド(パーフェロー・モラード・リオグランデパリサンダー)」「マダガスカルローズウッド」、アフリカ産の「オバンコール」「パオ・ロサ」、インドネシア産の「ソノケリン」(インディアンローズウッドを植林した物。成長速度が速い為にその分粗い木目になる)、などがあります。
<参考 ブリッジの作り方>
■ 作業時間 : 3時間
■ 使用用具 : バンドソー、クランプ、トリマー、ハンドドリルなど
ブリッジを自分の好みの形に作る場合は、この板材を用いて初めから作ってゆきます。オリジナルシェイプのブリッジにトライしたい方、マーチンタイプが好きでない人、オベーションやローデンのタイプのようにブリッジピンがなく、横から弦を通すタイプが好みなどの人は、この板材から作ってゆけますので、クラフトワークシップ的にも非常に魅力的です。
作業工程的には、サドル溝を掘る→ブリッジピン穴を掘る→外形を整える この順番が良いと思います。外形を先に作ってしまうと、サドル溝やブリッジピン穴の位置が微妙にずれた場合、調整がおこないにくくなりますので、基本的にはサドル溝の位置を中心に作ってゆくことをお勧めします。
サドル溝はまずサドルの厚みをどれだけにするかを決めることから始めます。サドルの厚みは一般的には2.5mm、2.7mm、3.0mmが多いですが、オクターブ調整をするには厚みが多いほどやり易くなるので、3.0mm厚をお勧めします。3.0mmのビットを使い、トリマーなどでサドル溝を掘ってゆくことになりますが、その際にはしっかりと板材を固定し、トリマーガイドを用いて慎重に掘ってゆきます。トリマーはスロースタートタイプがより安全なのでお勧めです。掘る深さは5mm程度となります。
サドル溝が掘れたら次はブリッジピン穴を掘ります。穴の位置は中心から10mm程度の間隔でマークしておきます。ハンドドリルを用い2mmのビットで慎重に穴を開けてゆきます。位置がずれないように慎重に開けますが、万一ずれた場合は位置修正を行いながら間隔が10mmになるよう空けてゆきます。最終は4mmビットで開け。微調整はリーマーを使います。
サドル溝とブリッジピン穴が出来たら、次はブリッジ外周を成形します。好みのシェイプにバンドソーやハンドソーなどを用いてカットし、棒ヤスリ等で形を整えてゆきます。最終的にはペーパーヤスリで研磨し成形終了となります。