1948年福岡県生まれ。 中学3年にビートルズに強く影響を受けます。 それ以降音楽に熱中する少年時代を送ることになります。1969年9月にアンドレカンドレとしてソニーからデビュー。1972年にはポリドールに移籍し、1973年、「夢の中へ」のヒットを契機に人気が高まり、 同年の「氷の世界」でミリオンセラーを記録します。井上陽水はどの時期までフォークであったのかは、初期のポリドール時代「断絶」から「氷の世界」の間との見方が妥当と思われます。これらフォークの範疇でも既に飛びぬけた個性があり、その音楽に惹かれた人は大いに違いありません。
井上陽水の特徴は、そのサウンド志向の強さにあったのではないでしょうか。1960年代中盤からのフォークとひかくすると、1972年の陽水ファーストアルバム「断絶」でサウンドクリエイトの違いが見て取れます。この時期のフォークソングは歌詞が重要視されていましたが、メッセージを強調し歌の世界観をうまく届けるため、バックの演奏は控えめというのが通例でした。
アルバム「断絶」においては星勝の音作りの面白さが引き立っていました。「氷の世界」ではロンドンでの録音で、キティの多賀英典の英断や、高中正義、細野晴臣、深町純、松岡直也、ビートロビンソンなどの参加ミュージシャンの力量が際立っていました。星勝のアレンジと共に、デビュー以来絶妙のミックスを施し続けたミキサー、大野進の貢献も大きいです。サウンド志向になっても陽水の世界観は揺るぎないものです。
「氷の世界」の大ヒットがフォーク時代の隆盛を確固たるものにしたと言っても過言ではないでしょう。この時代のあルバムのミリオンセラーは、従来フォークを聴いている層以外にも受け入れられた結果であり、サウンドメイキングの素晴らしさが多くの人の心をとらえたと言えます。
「断絶」
1972年
ポリドール
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これは彼のファーストアルバムとなります。マイナーメロディーが半数を占めます。 全体的に凝った音作りをしています。シャッフル調の「断絶」では派手なドラムのエフェクトや逆回転。アコギのフィードバックがある「もしも明日が晴れなら」 間奏にテナーサックスが入る「小さな手」。最後だけボリュームを上げるベース音の「ハトが泣いている」 突然の鐘の音がある「限りない欲望」 多彩な楽器アンサンブルの「傘がない」
・ あこがれ
・ 断絶
・ もしも明日が晴れなら
・ 感謝知らずの女
・ 小さな手
・ 人生が二度あれば
・ 愛は君
・ ハトが泣いている
・ 白い船
・ 限りない欲望
・ 家へお帰り
・ 傘がない
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「陽水ライヴ
もどり道」1973年
ポリドール
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1973年4月14日、東京厚生年金小ホールでのライブを収録。A面にあたる1~7は陽水と安田博美よるアコースティックギター、ブルースハープのみの演奏です。カッティングの切れ味が;よく、3の曲では陽水のギターに圧倒されます。B面にあたる8以降はバンドのサウンド。声の良さや透明感が際立ち、1980年代以降のようなクセがなく、ストレート。10のボーカルの抜けの良さが素晴らしいです。
・ 夏祭り
・ いつのまにか少女は
・ 紙飛行機
・ あかずの踏切り
・ たいくつ
・ 人生が二度あれば
・ 帰郷
・ 感謝しらずの女
・ 愛は君
・ 東へ西へ
・ 家へお帰り
・ 傘がない
・ 星
・ 夢の中へ
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「氷の世界」
ポリドール
1973年
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名盤と言えるアルバムであり大ベストセラー。アップテンポからバラードまでどの曲にも引き付けるものがあります。前作「ライブ もどり道」収録時は3拍子の暗めの曲だった1がロック調にアレンジされ、忌野清志郎との共作となる3、女性コーラス・ブラス・キーボードが入ったファンキーサウンドで、ブルースハープの絶妙な絡み具合が素晴らしい5。ほのぼのとした11など変幻自在のサウンドとなっています。シングルヒットしたマイナー調フォーク8にメロトロンを使用しています。叙情的な詞と絶望的な感情を併せ持ち、全体に深みがある出来になっています。音質も良く、奥行きの深さと各楽器の粒だった音像もこのアルバムの素晴らしさを引き立てています。
・ あかずの踏切
・ はじまり
・ 帰れない二人
・ チエちゃん
・ 氷の世界
・ 白い一日
・ 自己嫌悪
・ 心もよう
・ 待ちぼうけ
・ 桜三月散歩道
・ Fun
・ 小春おばさん
・ おやすみ
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「二色の独楽」
1974年
ポリドール
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・ 傘がない-イントロダクションー
・ 夕立
・ 太陽の町
・ Happy Birthday
・ ゼンマイじかけのカブト虫
・ 御免
・ 月が笑う
・ 二色の独楽
・ 君と僕のブルース
・ 野イチゴ
・ ロンドン急行
・ 旅から旅
・ 眠りにさそわれ
・ 太陽の町