ふきのとう

フォークシーンに北海道勢の顔が見え始める70年代中盤。その中でも数少ないデュオが山木康世と細坪基佳の男性2人組のふきのとう。4人組のマッドスライムスリムから山木と細坪の2人組・メロディーを経て1974年「白い冬」でデビュー。フォーク寄りの繊細な楽曲を書く山木と西海岸系のポップセンスを持つ細坪という個性の差異。


また、山木の楽曲を細坪が歌いオクターブ下で山木がハーモニーを付ける独自のスタイルを堅持。北海道を拠点に地道なコンサート活動で「春雷」などのヒット曲を生み、1980年代も安定した人気を得ます。細坪の楽曲制作の方向性が変化すると共に、山木の望むスタイルとの間に乖離がおき1992年に解散。しかしこの時期に現れたフォークグループの中では一貫した世界観を保ち、異例の長期に渡る活動でした。




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風待茶坊
CBSソニー
1976年
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通算3作目。情景描写に美しく溶け込むメロディーを書く山木。一方、心象風景を素直に打ち出す細坪、2人の作風の違いが溶け合った完成度の高いアルバム。瀬尾一三の緩急ついたアレンジが特徴。又、高橋幸宏、水谷公生、後藤次利らロック寄りの演奏陣によるアコースティックな響き。これらがサウンドの洗練度を高めています。長調のメロディーや3拍子の曲が多く、アルバムのトーンを温かいものにしています。

1. やさしたとして想い出として
2. 街はひたすら
3. 作品A
4. 君は人形
5. 夢の生活
6. みぞれの朝
7. 遥かなる海の星達
8. 君によせて
9. 小春日和
10. 風の船
11. 運命河
12. 朝もやの中



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人生・春・横断
CBSソニー
1979年
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デビュー曲以来のヒットとなる(2)を含む9作目は、デビュー盤と同じデザインのジャケット。音作りも原点回帰したかのような印象。叙情性の高い詞と哀愁味溢れるメロディーの融合が極まっています。(2)のハーモニーの美しさ、(4)で描かれる大人の女性との別れ、伴奏なしで始まる(8)の人生観など珠玉のナンバーが揃います。ニューミュージック全盛の中、確固たる世界を維持し続けたストイズムこそ、特筆すべき個性です。

1. OPENING
2. 春雷
3. 赤い傘
4. まるで気まぐれ秋の風
5. ばーじにあ・すりむ
6. ほととぎす
7. 柿の実色した水曜日
8. おまえと生きる
9. 風をみていた安兵衛
10. 沫雪
11. 青空
12. CLOSING