#8501a【塗料】シェラック片 薄色90g 250mlボトル入り 手工塗装 メンテナンス 表面保護 艶出し 美観 グレード感 ナチュラル仕上 クラフト <★送料880円ヤマト宅急便>

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手工ギターに適した塗装方法の「フレンチポリッシュ」に欠かせない塗料「シェラック」です。シェラックを使った塗装で最大限の満足を湛能してみて下さい。手工ならではの深い味わいを、ゆっくり時間を掛けて実現しましょう ! シェラックは高温多湿な場所 ( 30℃が目安 ) で保管すると固まってしまいますので、夏場の暑い時期は出来る限り「冷蔵庫」や「冷凍庫」に保管するようにします。濃色と薄色の両方がありますが、好みでブレンドすることも可能です。

シェラックは、「ラックカイガラ虫」が豆科・桑科の樹木に寄生して、樹液を吸って体外に分泌した樹脂状物質です。樹木の枝に多くの虫が群集するために樹脂層が一塊りとなって棒状となるので、「スチックラック」と呼ばれています。「スチックラック」を粉砕し、ふるい分けをして水洗し軽い虫殻や木質、水溶性色素などを除去したものは「シードラック」と呼ばれています。水溶性色素は回収されて「ラックダイ」と呼ばれ、食用色素や染料として使用されています。その「シードラック」から精製した天然の樹脂がシェラックとなります。

溶液の作り方はまず、シェラック12gに無水アルコール100ccを用意します。この濃さを1カットといいます。次にシェラック片をガラスビン等に入れ無水アルコールを注ぎます。このまま一晩置きますと、シェラックが溶けて使える状態になります。濃さは1カットを基準に、好みでシェラックを増やしたり減らします。薄いのは問題ありませんが、濃過ぎると塗りにくくなりますので、2カットまでの割合にすると良いでしょう。1カットと2カットの溶液を作り、1カットは仕上げ用、2カットは中塗り用と分けて使うと、作業が効率よく進むでしょう。

■ 仕様 : 一般木工品、工芸品、楽器塗装用
■ 成分 : 天然熱硬化性樹脂
■ 主原料 : ラックカイガラムシ分泌物
■ 形状 : 破片状

送料 880円

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■ シェラックについて

「シェラック」は楽器の塗装に古くから使われており手工ヴァイオリンなどにも使用されている塗料で、音に大変良いとされています。「シェラック」の材質はウレタンやポリウレタンが合成樹脂系であることと異なり虫の分泌物で天然物です。「シェラック」塗装は作業効率が悪いことや、塗膜の光沢感が乏しくベタつく感があることから限られたメーカーにしか採用されていません。

「シェラック」そのものはとても硬い物質で、そのままでは塗料になりませんから塗装する際に溶液に溶かして使用します。「シェラック」塗装が崩れているのを多く見かけますが、それは「シェラック」そのものが問題でなく、溶液とその使い方に原因が あります。又別の要因で「シェラック」そのものがギターケースの内装材と化学反応を起こし、塗膜が崩れることもあります。

「シェラック」塗装で良い方法は純粋な「シェラック」をアルコールで溶かして塗装する手法です。この手法で塗ると混合物がなく、比較的塗膜が強く上記のような状況は避けられます。この方法は少しずつしか塗装できない為、大変手間のかかる作業になりコストが 高くなってしまうのが難点ですが、「シェラック」塗装をする上では最も良い方法だと思われます。しかし、樹脂系の塗装と比べると塗膜がデリケートであることは事実で、メンテナンスに注意が必要です。とりわけ「シェラック」塗装は熱に弱いことから炎天下の車中などは厳禁です。

音創りの上で塗装は大切ですが、楽器製作そのものが最も重要で 塗装だけで良い音が出ることはありません。「良い楽器製作」と「良い塗装」があって良い音が生まれます。 「シェラック」塗装されたギターを手入れする際、ポリッシュによっては 化学反応を起こす場合もありますので注意が必要です。息を吹き掛けて布でカラ拭きする程度で良いでしょう。   

「シェラック」はインド、パキスタン、ネパール、タイ、ミャンマー、中国南部、台湾など、熱帯アジアに広く分布する体長約0.6~0.7mmの「ラックカイガラ虫」から採取される分泌物から作られます。「 ラックカイガラ虫」は特定の樹木に寄生し、その樹皮から樹液を吸って生活していて、自らを守るために樹脂状物質を分泌します。 樹木の小枝に、この「ラックカイガラ虫」の分泌物が付着したものを「スティックラック」と言います。「スティックラック」を粉砕し、虫の殻・糞・土などのゴミを取り除き、水洗いし粒状にしたものを「シードラック」、さらに、これを熱・アルコール・アルカリなどで薄膜などに精製・加工したものを「シェラック」といいます。また、大型のボタン状に加工したものを「ボタンラック」と言います。

ちなみに「シェラック」という言葉は「シェル(分泌物が貝殻状という意)」と「ラック(昆虫がたくさんという意)」の組み合せに由来しています。この「シェラック」をアルコール系溶剤に溶解して塗料化したものが「シェラックニス」です。シェラックニス自体はその塗膜の硬さから、単体でヴァイオリンなどの弦楽器に塗られる事は少ないです。 通常「シェラックニス」は、溶解する「シェラック」の色素によって黄橙色~赤褐色をしていますが、「シェラック」を漂白した「白ラックニス」と呼ばれるものもあります。

「シェラック」自体の歴史はかなり古く、紀元前2千年ころ中国で「シェラック」に含有する色素が染料に使用されたといわれます。 日本にはその中国から渡来し、奈良・正倉院北倉に「スティックラック」が「紫鉱」という名で約8kg残っているそうです。当時、こちらは染料としてではなく、外用薬として使われていたとされています。 その後「シェラックニス」が日本で工業的に使用されたのは、明治10年頃から洋家具の塗装に使用されたのが最初と言われています。それ以降、石油化学の発達につれて合成樹脂万能の時代となったため、一時期「シェラック」の需要は減り続けていたそうです。しかし、最近では染料やニスとしての塗料用途だけでなく、化粧品・医薬・食品など用途が広がってきているようです。


■ シェラックの製造

通常の「シェラック」は溶融状態や溶液状態でろ過されて精製されます。そして、シェラックロウを除去していない「含蝋品」と除去した「脱蝋品」があり、「シェラック」元来の天然色素を漂白、あるいは脱色したものがあります。「漂白シェラック」は、アルカリ水溶液でラックを溶解させて、次亜塩素酸ナトリウムで漂白し、無機酸でアルカリを中和させて「シェラック」を沈殿させることによって製造されます。「漂白脱蝋シェラック」は製造過程の間で濾過によるワックスの除去で得られます。 「物理的脱色」は色の濃いものを除くことで性質は変わりませんが、「科学的脱色」の場合は樹脂の性質を変えて漂白するもので、乾燥が遅くなる場合があります。


■ シェラックの特性

1. 乾燥が早く、塗膜が堅くなります
2. 黄変 ( 黄色く変色 ) がありません
3. 無味無臭で人体には無害
4. 光沢に優れ、耐摩耗性、密着性、耐久性に富みます
5. 天然樹脂としては唯一の熱硬化性樹脂です
6. 常温でアルコールにゆっくりではありますが良く溶けます
7. 熱に容易に溶融しますが一度熱硬化したあとは、熱や溶剤にも侵されなくなります
8. 強靭な耐油性があります
9. 電気的に不導体です
10. すぐれた耐摩耗性があります
11. 水に不溶であり、アルコール以外の有機溶剤にはほとんど溶けません


■ シェラックの生産

インドタイなどの東南アジア南アジアで「ラックカイガラ虫」を養殖しています。「ラックカイガラ虫」は体長1cmに満たない「カイガラ虫」の一種であり、様々な比較的広い範囲の種類の樹木に集団で寄生します。「カイガラ虫」は一般に体表から分泌する蝋質、あるいは樹脂質の虫体被覆物で体を保護していますが、「ラックカイガラ虫」の場合は、この集団内で体表から分泌する虫体被覆物が互いに融合し、宿主樹木の小枝を取り囲む棒状になります。この棒状の塊を粉砕し、熱、あるいは溶媒を用いて虫体被覆物を構成する樹脂状物質を抽出したものが「シェラック」です。


■ シェラック溶液の作り方

まず「シェラック」をアルコールに溶かします。ここで「カット」(CUT) という単位を使用します。「割る」という意味です。「 シェラック」1パウンドを1ガロン ( 1gallon = 3.8L )のアルコールで溶いたものが「1カット」です。「シェラック」が2パウンドだと「2カット」になります。数字が大きくなるほど溶液が濃くなります。目安としては「シェラック」12gにアルコール100ccが約「1カット」です。「 シェラック」の粉末をガラスビン等に入れてアルコールを注ぎます。このまま一晩置きますと、すっかり「シェラック」が溶けます。

「シードラック」など精製度の低い「シェラック」を使用する場合は、この後コーヒー用の紙フィルターなどで不純物を濾過しますが、「オレンジシェラック」以上の精製度では必要ないでしょう。 慣れてくれば計らなくても塗った時の感覚でわかります。3~4カットぐらいの濃いめの溶液を作っておき、あとは用途に合わせて使う直前にアルコールで割ります。使用後、余ったシェラック溶液は6ヵ月をメドに使い切りましょう。


■ シェラックの塗り方 ( 簡易一般用 )  はけ塗り

参考までに一般的な簡易塗装例をご紹介します。

<下準備>
下地を最終1000番まで丁寧にサンディングします。

<塗り(1回目)>
1~2カット程度で濃いめの「シェラック」を塗ります。1時間乾燥させます。

<塗り(2、3回目~)>
400番で軽く表面のザラザラをサンディングします。次に1カット(「シェラック」12gにアルコール100cc ) の「シェラック」を塗ります。1時間乾燥させます。お好みでこの作業を数回繰り返します。

<仕上げ>
2日後、600番と1000番で軽く表面のザラザラをサンディングしたあとにワックスを塗り、拭き取ります。


■ シェラックの塗り方 ( 楽器用 )  タンポ塗り

準備物

パッド ( タンポ ) 、シェラック片、無水アルコール、オリーブオイル、パミス 布 ( 10cm x 10cm ) 50枚、輪ゴム、ビン、サンドペーパー

生地調整

サンドペーパー掛け #100 → #120 → #150 → #180 → #240
無水アルコールで表面を拭きます。キズ・へこみ等が完全になくなるまで生地調整します。サンドペーパ掛けは当て木をいます。手だけで行うと均等に仕上がりません。動かす方向は一方向で、往復には動かしません 。

塗装工程

<目止め>
主に気孔を埋めるために行います。パミスが樹脂と混ざり合い気孔を埋めます。

<下塗り ( ウォッシュコ―ト )>
ギターに幾重もの皮膜を施す基にします。裏板や側板に含まれている樹脂や染料がインレイやパーフリング・ロゼッタに染み込み、色が汚れるのを防ぎます。

<中塗り( ボディセッション )>
十分な厚さになるまで、何層ものシェラック層を作るために行います。

<上塗り ( グレイジング ) >
最後のやすり掛けで残った引っかきキズを埋めるために行います。

<目止め>
目止めは「パミス」と「無水アルコール」のみを使用します。主に導管が大きな広葉樹 ( マホガニー、ローズウッドなど ) の表面を平坦にするために行います。スプルース、シダーなどの導管が細い針葉樹には目止めは不要です。小瓶一振り分の「パミス」をコピー用紙の上にまきます。タンポに無水アルコールを10滴付けます。用紙の上のパミスをタンポ外周りに少量付けます。タンポに付いたパミスを手で分散させながら透明にします。1回目以降、アルコールは一回に4~5滴付けます。パミスはギターの表面に直接振りかけると表面が荒れるので、必ずタンポに付けて作業を行います。アルコールを飛ばすため10秒ほど待ってからタンポを動かします。タンポを円を描くように動かし、強めにこすり付けます。

一度にパミスをこすり付ける面積は小さくし、時計回りとその反対回りに交互に何度も回転させます。パミスは一回につき微量をタンポに付けるようにします。多く付け過ぎると、木を多く削って平坦になりにくくなり、余分なパミスが表面を汚します。10回に1回程度は無水アルコールのみで表面を磨き、仕上がり具合を確認します。時々、表面を光に当てて目止めの状況を確かめます。一度に行う目止めの面積は狭く設定し、余分なパミスは無水アルコールを少し付けて他の箇所に移します。導管が完全に埋まるまで作業を繰り返します。

<下塗り ( ウォッシュコート ) >
シェラックとオリーブオイルを使用します。タンポは使わず、10cm x 10cm 程度の布を四つの折り曲げて使用します ( 10枚用意 )。2ポンドカット ( シェラック20g、無水アルコール100cc ) の液を布に染み込ませ、オリーブオイルを1滴付けます。 ギターの輪郭・パーフリング・バインディング・ロゼッタ・バックセンターをなぞり、一塗りします。次に残りの箇所を一塗りします。塗る際は動きを止めたり左右に動かさず、一気に一塗りします。 1回塗る毎に布を折り、きれいな面と使います。布に色が付いたら捨てます。この作業を20分~30分おきに3回繰り返します。 シェラックを塗り重ねる毎に、布に汚れが付かなくなります。パーフリングやロゼッタに色が付いたら、オリーブオイルを付け#400のサンドペーパーで色を落とし、シェラックを塗り直します。

<中塗り ( ボディセッション ) >
タンポに無水アルコール、シェラック、オリーブオイルを付けます。タンポが新しく初めて付ける時は、無水アルコールを10滴、シェラックを8滴、オリーブオイルを1滴付けます。それ以降は無水アルコールは6滴で良いです。手の甲でタンポを軽く叩き、無水アルコールとシェラックを十分に混ぜます。コピー用紙にタンポを軽く叩いて、湿り具合をチェックします。

叩き跡が湿っている時は付け過ぎで、この状態で塗ると、既に塗ったシェラックを削り取ることになります。用紙に跡が残らない場合は量が足らない状態。水が染みたようになったら適正な湿り具合と言えます。アルコールを適度に飛ばすことがポイントです。このように湿り具合を調節したタンポを、常に動かし続けます。円運動を行い、決して止めないよう注意します。タンポを止めると塗装面がとても荒くなります。タンポの動きを止めずに方向を変えるテクニックを身につけることも重要です。

タンポを動かす時は、ギター面を幾つかの部分に分け、一ケ所を均質になるように固定して動かします。まずは円運動を行い、次に直線運動に変更して余分なシェラックを取り除きます。タンポが湿っている時は圧を軽くし、乾き出したら強く押し付けます。タンポが通過した後の曇りを観察し、曇りがない場合はシェラックが塗られていないことになります。表板の指板付近のコーナーは、1cm程度の小さなタンポを使い、小さな円運動と直線運動で塗ってゆきます。コーナーの塗りはタンポをその形に合わせるようにするのがポイントです。ギターの淵と隅は、塗りが薄くならないように注意し十分に塗ります。オリーブオイルは少なめに使い、タンポの動きが悪くなり塗り面にくっつきそうになった時にのみ使います。

次の行程では余分に付いたオリーブオイルを取り除き、表面のムラを修正するため、無水アルコールだけを使って一方向にタンポを動かします。基本的に円運動を2回、直線運動を1回行う3での動作から、4での動作までを1行程とし、2日間乾燥させ、これを6回繰り返します。この中塗り行程はシェラック層を十分な厚さにすることが主な目的です。塗りの途中でキズや埋まっていない気孔が見つかったら、パミスと無水アルコールを少し使って埋めておきます。

<上塗り ( グレイジング ) >
この行程はシェラック層をさらに厚くするのではなく、仕上げとして表面のキズを無くすために行います。1ポンドシェラックで直線的に塗ってゆきます。タンポに1ポンドシェラックと無水アルコール、オリーブオイルを付け直線的に動かし続けます。途中で不完全な表面を発見したら、#1200の紙ヤスリで平らにして、作業を続けます。全体の作業が完了したら、再度不完全な部分がないかチェックし、見つかれば#1200の紙ヤスリで平らにし、さらにシェラックを塗ります。4日ほど乾燥させた後、極細密コンパウンドで磨きます。

保存方法

シェルフタイム(棚時間)といって、「シェラック」はアルコールに溶いた状態では長期保存はできません。 目安としてはだいたい半年と言われていますが、「シェラック」の精製度、アルコールの種類や純度、保存状態によって前後します。古くなると乾燥が遅くなり、粘度が高くなります。何か月も経って古くなった「シェラック」溶液を使用するときは、試し塗りをして乾燥するかどうかを確認することをお勧めします。既に出来上がったギターで「試し塗り」をしないように。一般的には使う前日にアルコールに溶くのが望ましいです。


■ シェラックの用途

「シェラック」はギター塗装だけでなく多くの用途に使用されます。濃色を付ける場合は純度の低いものを、透明色に近い薄色にしたければ、ブロンズ以上の純度の高いものを使用します。「シェラック」は天然油脂や油性ボリウレタンのように黄変しません。

<下地処理(サンディングシーラー)として>
この用途は「シェラック」の得意とするところです。初めは1カット(「シェラック」12gにアルコール100cc )の「シェラック」を塗ります。2回目は1~2カットを塗ります。これだけで木材の表面はツルツルで非常に滑らかになります。スーパーブロンズを使用すれば色は付きません。黄変もありません。このあと油性、水性、ラッカー、ウレタンなどの仕上げ剤を塗れます。水性塗料の下地にするときはDewaxedを使用すると白濁などのトラブルが少なくなります。

<目止め、節止め、ヤニ止め(フィラー)として>
濃いシェラックを使用して隙間を埋めることが可能です。この場合は3カット以上を使用します。緩んだ節などもかっちり押さえることが可能です。

<仕上げ材(トップコート)とし て>
酷使されるテーブル天板以外はシェラックを仕上げとしても使用できます。仕上げ方法によって、顔が写るほどピカピカの鏡面仕上げ(フレンチポリッシュ)から艶消しの渋い仕上げまで自由自在です。塗膜の厚さも塗り重ねる回数によって自由にコントロール出来ます。 様々な用途で使われる「シェラック」ですが、まず、その「シェラック」の以前の最大利用用途と言われるもので、アナログ(LP・SP)レコード盤があります。これらには「シェラック」にカーボンブラックを混ぜたものが使われました。 又、「シェラック」のワックス分は、チョコボールやチューインガムのコーティングにも使われます。「シェラック」でコーティングしてあると、手で触ってもベトつかず、その艶のある強い被膜のおかげで製品同士がくっつかず、品質・風味を長く保つことができます。

又、酸に強いという特性から、胃で溶けず腸で溶けるようにした医薬品(糖衣錠)のコーティングとしてもこの「シェラック」のワックス分が使われています。さらに、ヘアマニキュアなどの化粧品、フルーツワックス・カーワックス、アルミフォィル表面のコーティングなど、日常生活のあらゆる所で利用されています。 古くからのギター塗装用と言うと、なにか「神秘的な」「とっつきにくい」感じがあるかもしれませんが、身近な所で多く使われていれば、逆に親近感が増すでしょう。


■ シェラック使用上の注意

保管は常温でOKですが、25度以上にならない場所が適当です。湿気、直射日光には十分に注意してください。 フレークで保管する袋やケース等の入れ物には、乾燥剤をお入れすることをお勧めします。 脱脂済みの「シェラック」でも0.1%ほどのWAX(脂)は残っています(目では見えない程度) もし気になるようでしたら、静かにうわずみを別のビンに移し変える事で、ほぼ完全に脱脂する事が出来ます。 アルコールは可燃性が高く危険なものですので、 使用者の責任で十分に注意して取り扱いください。毒性が高い工業用アルコール等は特に注意が必要ですので、使用者の責任で十分に注意して取り扱いください。屋内での使用には十分な換気を行って下さい。


■ シェラック取扱・保管上の注意事項

1. 取扱後、手洗い・うがいを行ってください
2. 目に入った場合はタ良の水で洗い、出来る限り早く医師の診断を受けてください
3. 誤って飲み込んだ場合には、出来る限り早く医師の診断を受けてください
4. 皮膚に付着ちた場合は水で洗い落してください
5. 本品は着荷次第出来る限り早くご使用ください
6. 保管はフタをして一定の場所を定めて保管してください
7. 日の当たる場所、その他昇温する場所を避けて保管してください
8. 子供の手の届かない所に保管してください
9. 中身を使い切ってから廃棄してください
10. 日光の直射を避け、温度25度以下、湿度75%以下で保管してください
11. 酸、アルカリ等の接触を避け、混入の恐れがないように注意してください


■ シェラックQ&A

【シェラック 基本編】

(シェラックは天然物ですか)
主にタイ、インドが産地で「ラックカイガラ虫」という小さな昆虫が出す 分泌物を原料とし精製した物が「シェラック」です。

(何に使うのですか)
木工では「シェラック」をアルコールに溶かして「シェラックニス」を作ることが出来ます。 木工に限らず食品、化粧品、電気製品等、色々な分野でも使われています。

(シェラックは無害ですか)
「シェラック」は燃やしても有害なガスは発生せず、廃棄しても性分解する、環境にも人体にも優しい樹脂です。


【シェラック 初級編】

(シェラックを溶かす為のアルコールはどんなのが良いですか)
99%以上の高純度アルコールで工業用アルコールや 消毒用アルコールが良いでしょう。( 無水アルコール )

(99%以上の高純度アルコールを簡単に入手出来ますか)
工業用はお近くの塗料店やホームセンターなど、消毒用は薬局やドラッグストアなどにご相談下さい。

(入手しやすいアルコールは何がありますか)
薬局やドラッグストアでは「無水エタノール」という 商品名のものは比較的入手しやすいと思います。

(どのアルコールも体には安全ですか)
全てが安全ではありませんが、エタノールはお酒の成分と同じで、酔性があり口に入れても安全と言われています。

(エタノールにも種類がありますが、何故「無水エタノール」が良いのですか)
塗装用としては、一般的に水分が含まれ無いほうが良いためです。

(純度の低い「消毒用エタノール」ではダメですか)
純度が低いアルコールにはほとんどの場合、薄めるための「水」が含まれ、塗装には不向きです。

(「水」がアルコールに含まれているとなぜダメなのですか)
アルコールの気化スピードと水分の乾燥時間に大きな差がある為、水だけが長時間残る事になります。 塗装に適す状態まで整った木部表面への水分付着は、「毛羽立ち」「変色」「シミ」などが発生しやすくなります。

(出来るだけ安価なアルコールは何がありますか)
工業用アルコールが最も安価だと思います。液体では毒性がありますが「気化してしまうから」と言う理由で、使用する方もいるようです。もし、使用される場合は取り扱いも含め十分注意が必要です。

(下塗り用として使っても良いですか)
サンディングシーラーの代用になります。乾いた後にはラッカーなどの溶剤系塗料を上に塗る事も可能です。一部、ポリエステル系、ウレタン系の塗料などと相性が悪いものがありますので、必ずテストピース等で試してください。


【シェラック 実践編】

(シェラックをアルコールで溶かすにはどうしたら良いですか)
基本的に、純度の高い(99%以上)アルコールに入れて溶けるのを待ちます。かき混ぜると早く溶けます。約1日で溶け込みます。

(使う容器は何が良いですか)
透明なガラス瓶をお勧めしますが、廃品利用でも対応できると思います。

(シェラック溶液を入れる容器はプラスチックや金属は可能ですか)
プラスチックでもアルコールに侵されない物であれば使えますが、金属容器は変色・変質の原因になりますので使用しないほうが無難です。

(混ぜる時にはシェイクしても良いですか)
シェイクしても問題は有りませんが、ビンが割れたりフタをしっかり閉めていない場合、「シェラック」溶液が飛散する場合がありますので注意が必要です。

(ビンのフタが固まって開かなくなったのですが)
ネジフタの場合シェラック溶液が付着し固着して開かなくなる事がありますが、買い物袋(ビニール袋)等をフタより大きく切り、挟み込むと固着しにくくなります。

(シェラックを溶かす時の「単位」はありますか)
基本的には自由ですが、欧米にはシェラック溶液を作る時の単位があります。アルコール100ccに12グラムのシェラックフレークを溶かした濃度を「1カット」と呼んでいます。

(使いやすい濃度はどれくらいですか)
初めての場合は、テスト的に作品以外の物に「1カット」で作った溶液を「速乾塗料を扱う感覚」で試し塗りを何度か行って練習してください。好みや用途によって違いますが、通常「2カット」がお勧めです。 濃度は後からでもアルコールや「シェラック」を追加する事で調整できます。

(どうやって塗るのですか)
基本的にニス等の塗料と同じですが、好みにより刷毛、ウエス、ペーパータオル、タンポ、など塗り方も様々の様です。塗りとサンディングを繰り返して好みの段階まで仕上げるのが一般的です。エアブラシでの使用はアルコールの気化が早い為 ノズルが詰まる事が多く、様々な研究が必要です。

(どの様な仕上がりになりますか)
塗る素材によって様々ですが、しみ込む量が多い素材は塗装回数が少ないほど艶消しっぽくなります。厚く塗る事で艶も出せますが、塗装や研磨など高度な技術が必要になります。鏡の様な仕上げ(鏡面仕上げ) がされている例がありますが、平坦ででこぼこのないように仕上げるには、これも高度なテクニックが必要です。「シェラック」だけで仕上げる方法を 一般的に「フレンチポリッシュ」と呼んでいます。

(オリジナルの調合でも良いのでしょうか)
溶かし方や濃度も含め基本的には自由です。 他の添加物やオイル、着色材などをミックスし、オリジナル溶液も作れます。

(溶かした後、いつまで使えるのですか)
かなり長い時間(1ヶ月以上)溶液のまま保存しても、 木工での塗装に使う場合は大きな問題になる事は聞いていません。 直射日光があたる場所や、気温が常時25度を超える場所、 湿度が高い場所に放置すると変色、変質して使えなくなる事があります。 可能であれば、使う度に使う分量だけ溶液を作る事が望ましいでしょう。


【シェラック こんな時どうする編】

(塗装面が曇った感じがしますが…)
「シェラック」はアルコールに溶けるといった性質上、乾燥後でも、再びアルコールに触れると溶け出す事があります。硬化がさほど進んでいない状態では、化粧品やお酒などに含まれる 微量なアルコール類にも反応する事があります。さらに耐アルカリ性にも弱い性質がありますので、注意が必要です。

(シェラックフレークが固まってしまいました)
湿気や水が入り込むとフレーク同士がくっついて固まる事がありますが、塗料として使う場合、大きな問題はありません。乾燥剤等を入れて湿気が入りにくする事と、出来るだけ早く使用する事をお勧めします。

(既製品の既に塗装された楽器にシェラックを塗っても上手く塗れません)
下地がどの様な状態かによって異なりますが、塗装されてから年月が経過していたり、剥がす事が困難な塗装面への上塗りには適しませんので使用しないで下さい。

(塗装面が白く濁ってきましたが)
シェラックは高湿度時や下地が乾燥していない場合に白濁する場合がありますので、下地(材料)の乾燥と、作業する環境、天気などに配慮が必要です。

(冷たいグラスを置いたら白い輪が出来ました)
シェラックは耐水性には弱く、長時間水分やアルコール類が付着すると塗装面が変化する場合があります。水分やアルコール類を含む液体が長時間触れないよう注意します。

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